習慣の違い

韓国企業との独占販売契約の危険性について

韓国で独占販売したいです

2024年現在、極度の円安に突入していますが、円安は外国人からすると絶好の輸入のチャンス。いつも10万円で購入していたものが7万円で購入できる感覚になるんです。それは日本で購入したくなるのも理解できますね。これはショッピングや旅行だけではなく、商業取引も全く同じことが言えます。

そうした状況になると、「韓国で売りたい」「韓国で代理店させて欲しい」など、特に展示会に出展すると韓国企業からの打診もあります。珍しい製品やこれは売れそうだ!という製品になると「韓国で独占販売したいです。」「我が社は韓国のサムスングループやロッテグループと取引がある会社です。」とか「代理店が200社あります。」とか、あらゆる手を講じて、独占販売権を取りたいと懇願してきます。

それが本当であれば、大きな取引に結び付く事もあるでしょうが、現実はそう甘くはありません。韓国の独占販売権を渡してしまった事で、身動きが取れなくなってしまうケースも多々あるのです。

勝手に商標登録されてしまった

「いや、弊社では海外企業との独占販売契約はやってません。(A社)」

そのようにはっきりいう事が一番大事です。しかし韓国での売り上げはやっぱり欲しい・・と言う事で通常の場合は代理店契約を結ぶ事が多いでしょう。とりあえず一旦、A社は韓国のX社と代理店契約を結んだとしましょう。

契約後、韓国で販売する代理店X社はまず苦戦します。

「貴社の扱っているA社の製品は、貴社しか扱えない製品ですか?」とエンドユーザーはX社に訊ねてきます。
「弊社と日本のA社は代理店契約を結んでいます。」
「あ~X社さんは代理店契約~ただの代理店なのね・・・」

となってしまいます。

そこでX社は優位性や差別化を獲得したいがために、とある行動を起こします。
それが「韓国内での商標登録」です。

「(仮称)半導体システム QQC」
この製品名は世界的に有名だとしましょう。
一般の代理店でしかないX社はこの商標を勝手に韓国で登録してしまったのです。

しばらくはバレなかった

韓国で勝手に商標登録をしたX社。
特許庁に登録された「(仮称)半導体システム QQC」の商標権者はX社名義。
その登録事実があるゆえに、韓国での売り上げが鰻上りに成長し始めました。

もちろん日本のA社も商標登録の現実を知るまでは大喜びでした。
「韓国に代理店作って良かったな~」と

しかしある日、韓国の他の代理店から大クレームが入ったのです。

「何故、X社とだけ独占販売契約をしたのですか?」

A社は寝耳に水。詳しく内容を聞くと「商標登録」をネタに、A社と独占契約を結んでいるとの事を知ります。

結局、韓国では販売できなくなった

「何で、勝手に商標登録してるんですか!」
A社の海外担当部長は怒りを露にして電話をしました。

韓国のX社の社長は
「他社が値段を安くし、廉売するのを防ぐために御社のために商標登録したんですよ」
とあっけらかんとした態度。

「分かりました。それでは一旦、商標を弊社(A社)名義に移してくださいよ」と。

ところがX社の社長は、
「それは難しいですね。弊社名義で取った商標登録ですから」
「韓国で同じ名前で販売する時は、我が社を通して販売してください。」

結局、韓国の他の代理店契約は全て無効にされ、現実的に韓国での販売は出来なくなってしまいました。

韓国での代理店展開を甘く見ない事

韓国の企業と代理店契約を結ぶのに、日本の契約書を翻訳したものを使用していたA社。裁判となっても国際弁護士や韓国の弁護士までも依頼する羽目になり高額委託料はまぬがれません。徴用工問題にも見られるように、解決までには長い時間が掛かります。

韓国企業との代理店契約については、最低でも韓国の裁判所で有効になるような書面を作る事が大事です。その場合一番有効なのは、韓国に支店登記をあらかじめして置く事です。支店があれば韓国企業とある程度同等に扱われるので、費用面その他も節約する事が出来るでしょう。いずれにしても、韓国のみならず、海外での代理店展開を甘く見ない事です。

ZOOMによる顧客相談室を設けております。

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