韓国の銀行口座を差し押さえることは可能か?
現代は国際化が進み、韓国など海外に在住する人や、現地の銀行に口座を持つ日本人も増えています。そんな中、「韓国の銀行口座を差し押さえることはできるのか?」という相談が時折寄せられます。
たとえば、詐欺に遭い、大切なお金を騙し取られてしまったとします。そのお金を取り戻すためには、まず裁判で返還請求を行い、勝訴判決を得る必要があります。この裁判をどの国の裁判所で行うかは、通常、相手方の住所によって決まります。相手が韓国に住んでいる場合、韓国の裁判所に訴えを起こすことが基本です。ただし、詐欺などの不法行為が日本国内で行われた場合には、日本の裁判所でも訴訟が可能です。
強制執行と韓国の銀行口座の差し押さえ
判決を得ても、相手が韓国の銀行口座に財産を隠している場合、それを差し押さえるには「強制執行」が必要です。しかし、強制執行にはその国の法的な手続きが伴います。日本の裁判所が出した判決は、原則として日本国内でしか効力を持ちません。韓国の銀行は日本の強制執行命令に従う義務がないため、日本の書類を持ち込んでも対応されないのです。
韓国のように日本と相互協定を結んでいる国では、現地の裁判所で執行手続きを改めて行うことで、差し押さえが可能になります。具体的には、韓国の裁判所で日本の判決を認めてもらい、「執行文」を取得することが必要です。
手続きにかかる費用や注意点
韓国での強制執行手続きには、以下のようなコストがかかります。
- 判決文や証拠書類の韓国語への翻訳費用
- 現地の弁護士(변호사)への依頼費用
- 韓国の裁判所での申請・手続き費用
- 相手が法人であれば事業者登録番号を控えておく
- 相手が個人であれば住民登録番号を控えておく
また、現地の法律や手続きに詳しい専門家を見つけることも重要です。日本の弁護士が直接韓国で代理人を務めることはできないため、韓国の弁護士との連携が必要になります。
まとめ
韓国にある銀行口座を差し押さえることは不可能ではありませんが、手続きは複雑で時間と費用がかかります。特に、現地の法律や裁判手続きに精通していない場合は、専門家のサポートを受けることが不可欠です。慎重な準備と計画が成功へのカギとなるでしょう。