韓国料理と聞くと、石焼ビビンバやサムギョプサル、チーズタッカルビ、プテチゲ…などの大衆料理が思い浮かびます。しかし、実際のビジネスシーンで大切な取引先をお迎えする際に選ばれるのは、もう少し“格”のある店と料理。今回は、私たちが実際に利用することの多い韓国の「接待めし」を三つに絞ってご紹介します。初めての方でも外さないポイントをまとめましたので、ぜひ大切な会食にご活用ください。
接待で店を選ぶときの基準
- 個室・半個室がある(プライバシーを確保)
- 匂い・煙対策完備の有無
- 進行がスムーズ(焼き・取り分け)
- 酒類の充実(ワイン・伝統酒・対応)
- 立地(移動5分圏・二次会への導線)
- アレルギー/宗教配慮が可能
- 事前決済やテーブル会計の可否
① 高級プルコギ
どんな料理?
プルコギは本来、薄切り牛肉を甘口のタレでさっと炊く韓国の定番。接待では韓牛(ハヌ)1++等級など上質な肉を使い、鍋仕立てや鉄板焼きで提供されることが多いです。店側が火加減から取り分けまで面倒を見てくれるため、会話のリズムが崩れません。
代表的なブルコギ料理
🐂ソウルブルコギ
上品で私達がよく知っているブルコギのスタイルです。薄切りの牛肉を甘辛い醤油ベースでまとめ、肉の旨みが出汁や野菜にふわっと行き渡る“整った味”が特色。専用のドーム型パンで仕立てる店が多く、煙や匂いが控えめで、服ににおいが残りにくい。ビジネス会食で「外さない安心感」を出したい時の本命。

- 韓一館(Hanilkwan/ハンイルグァン)・狎鴎亭
1939年創業の名門。自社が「ソウル式ブルコギの元祖」と掲げ、観光公社も“ソウル式ブルコギのオリジネーターとされる”と紹介しています。ハニルグァン(韓一館) - 옛맛서울불고기(Yetmat Seoul Bulgogi/イェンマッ)・明洞
明洞の“ソウル式ブルコギ”専門店として観光公社が案内。薄切り牛肉を出汁・野菜と一緒に軽やかな味わいで楽しむスタイルです。懐かしのソウルブルコギ - 보건옥(Bogeonok/ボゴノク)・乙支路〜鐘路
1980年創業、テレビや新聞で“ソウル式ブルコギ”の老舗としてたびたび紹介。注文後に和えた肉をドーム鍋で出汁と一緒に味わう昔ながらの一軒。ポゴンオク
🐂光陽(クァンヤン)ブルコギ
極薄スライスの牛肉に軽く下味をつけ、それを炭火や銅板でさっと焼き上げるブルコギです。タレの甘さは控えめで、焼き目と脂の香りが前面に立つ“ライブ感のある味”。そのぶん煙と香りはやや強め。相手の印象に残したい会食や、肉の焼き上がりを楽しみたいビジネス相手の接待に向いています。

三代光陽プルコギチプ(삼대광양불고기집)|全羅南道・光陽市
光陽プルコギを名物として確立した老舗として知られる一軒。1930年創業の家業で、現在は3代目が切り盛り。炭火+銅板で極薄肉を香ばしく焼き上げるスタイルの代表格です。
三代光陽プルコギチプ
長元会館(장원회관)|全羅南道・光陽市
光陽市の地元人気店。光陽邑(旧市街)エリアで“現地の人が通う”タイプの一軒としてしばしば紹介され、個室/団体席ありなど会食対応の使い勝手も良好。
長元会館
光陽プルコギ本家(광양불고기본가)|ソウル・江南
ソウルで光陽スタイルを安心して体験したい時の定番候補。看板は「光陽プルコギ」、江南区・大峙洞の店舗はアクセスも良く、営業時間や所在地が観光公社のデータにも掲載。ビジネス出張ついでにも使いやすいです。
光陽プルコギ本家
🐂彦陽(オニャン)ブルコギ
“肉そのもの”の存在感で勝負。薄切りだけでなく粗く叩いてふっくら成形する流儀もあって、醤油系の穏やかな味付け、甘さ控えめの蔚山市地方のブルコギです。炭火の香りはありますがちょうどよく、噛むほどにコクが増す“密度の高い味”。甘さより旨み重視の大人向け接待にはピッタリです。

彦陽伝統瓦屋根オニャンブルコギ(Eonyang Giwajip Bulgogi)|蔚山・蔚州郡 彦陽
彦陽スタイルを象徴する老舗。100年以上の韓屋を改装した趣ある空間で、炭火×網焼き・味付けは控えめという王道を体験できます(創業40年以上)。“肉の香りを前面に出す”タイプで、初めての彦陽プルコギにも最適。
彦陽伝統瓦屋根ブルコギ
蔚山彦陽ブルコギ(Ulsan Eonyang Bulgogi)|蔚山・南区 三山洞
1983年に彦陽・東部里で始まり、現在は蔚山市街中心の三山洞に拠点を構える専門店。1+等級以上の韓牛を使い、薄切り肉を軽く味付けして炭火の網で香ばしく焼く“彦陽流”をきっちり踏襲。フロアが広く団体・会食対応にも向きます。 蔚山彦陽ブルコギ
釜山の家(Eonyang Bulgogi Busanjip)|釜山・広安里
釜山で彦陽スタイルの代表格として知られる一軒。ミシュラン公式でも“ソウル式より甘さ控えめで、韓牛サーロインの香ばしさ・ナッティな旨みを活かす”点が評価されており、観光サイトにも**所在地・営業時間・価格(200g=35,000W)**の掲載あり。ソウル以外の出張時に頼れる選択肢です。
釜山の家
オニャンブルコギ(Eonyang Bulgogi)|ソウル・江南(論峴)
30年以上“彦陽式”一本でやってきた専門店。メニューは等心(サーロイン)と彦陽プルコギの2種のみ。注文後に韓牛サーロインをサッと和えて炭火の網で香ばしく焼き、仕上げは荏胡麻油+胡麻油のブレンドに付けていただくのがここの流儀。接待でも使いやすい落ち着いた一軒です。 彦陽ブルコギ(ソウル)
接待での強み
- 甘辛で食べやすく、日本の方にも嗜好のブレが少ない
- 匂いが強すぎず、衣類ににおいが残りにくい
- スープ・春雨・野菜が入り、コース構成に厚みが出る
- ワインやマッコリとも相性◎、ノンアルの対応も容易
目安予算
- ランチ:35,000〜50,000ウォン/人
- ディナー:90,000〜180,000ウォン/人(コース想定)
② 韓定食(ハンジョンシク)
🧑🍳どんな料理?
前菜、粥、海鮮、蒸し物、煮込み、焼き物、チヂミ、スープ、ご飯、デザートまで多皿構成で季節の食材を堪能できるのが韓定食。韓屋(ハノッ)を改装した静かな空間の名店も多く、小さなお皿にたくさん出て来る印象です。

🧑🍳接待での強み
- 多彩な小皿で出て来るので、同伴者の好き嫌いに対応しやすい
- ベジタリアン/宗教配慮の差し替えがしやすい
- 進行がコース制で時間管理がしやすい(90〜120分目安)
🧑🍳目安予算
- ランチ:35,000〜60,000ウォン/人
- ディナー:80,000〜180,000ウォン/人(コース想定)
ヨンスサン(용수산)|秘苑(昌徳宮近く)・蚕室 ほか
開城(ケソン)料理×宮廷料理を軸にした老舗。九節板や神仙炉など伝統代表料理をコースで網羅でき、落ち着いた雰囲気での会食に強い。観光公社の紹介ページに店舗情報・名物がまとまっています。
ヨンスサン
明洞亭(Myeongdongjeong/명동정|明洞)
王朝料理ベースの韓定食を個室中心(全席個室対応を掲げる)で提供。明洞駅10番出口至近でアクセス良好。伝統的な内装と多皿コースで“初回の接待”にも使いやすい一軒です。
ミョンドン亭
Jinjinbara(진진바라/ソウル各所:瑞草・汝矣島・江南ほか)
複数拠点を持つ韓定食ブランド。大箱・個室対応で会食に使いやすく、ランチ/ディナーのコース運用がしやすいのが強み(例:瑞草店の営業時間や汝矣島店のコース情報などが公開)。
③ 高級ホルモン
どんな料理?
韓国ではコプチャン(小腸)/テチャン(大腸)/マクチャン(ギアラ)などの部位が人気。接待では、下処理が徹底され無煙ロースター・強力換気・個室のある清潔感の高い店を選ぶことが必須です。とろける脂の旨味は唯一無二で、記憶に残る会食になります。


接待での強み
- 料理の“特別感”が強く、話題が生まれる
- ワインや熟成マッコリとも驚くほど相性が良い
- 締めのクッパや冷麺まで起承転結がはっきり
注意点&ひと工夫
- 匂い対策(高級店の場合は換気対策は完備)
- 好みが分かれる場合は、盛り合わせ→お替りの順で
- 宗教・嗜好配慮は事前にヒアリングしておく
目安予算
- ディナー:80,000〜150,000ウォン/人(飲み物別)
① ヤンミオク(良味屋)— 南大門店/COEX店
乙支路の名店として知られた“ミノ・大腸焼き”の代表格。2021年に乙支路本店が火災で全焼後も、味は南大門店などで継承されており、接待・会食の定番候補。目安価格は特양200g 33,000W/大腸200g 32,000W。席数が多く団体にも強いのがメリットです。 ヤンミオク(良見屋)
② オバルタン(Obaltan)— 汝矣島ほか
“ミノ・大腸焼き”を看板に掲げる老舗ブランド。韓国内に約14店舗、海外にも展開しており、焼き上げサポートや落ち着いた客席でビジネス利用しやすいのが強み。汝矣島店は昼営業・ルーム席があり会食導線を組みやすいです(営業時間等は店舗差あり)。 オバルタン
③ 乙支ファン牛コプチャン(Eulji Hwangso Gopchang)— 汝矣島
乙支路で長年“ミノ・大腸焼き”の名で知られ、再開発を機に汝矣島で再オープン。今も“ミノ・大腸焼き”を柱に、価格帯は大腸27,000W前後。オフィス街至近で二次会移動もしやすい立地です(住所・電話の基本情報も公開されています)。 乙支ファン牛コプチャン
④ヨンタバル(Yeontabal)— 市庁/江南ほか
“ミノ・大腸焼きのプレミアム焼きで有名。女性のスタッフさんが焼き上げまで面倒を見てくれる店舗が多く、個室がある場合もあります。芸能人などの利用も多い。価格は店舗により差があり、例として特ミノ170g :37,000〜43,000W/大腸180g 36,000〜42,000Wのレンジ感。会食・接待向きの上位候補です。
ヨンタバル
⑤オマクチプ(釜山)
釜山でヤン/大腸焼きの老舗として知られ、韓国観光公社では「釜山最古のトライプ専門店」と紹介されています。ソウルよりも価格が安いが味は保証付き。
オマクチプ
最近は日本企業が取引先の日本企業担当者を韓国で接待するという不思議な現象が増えているそうです。是非皆様もちょっと上を行く韓国料理の名店情報、ご参考にされてください。
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